IP アドレスと周辺知識をまとめてみた
CREATED: 2026 / 05 / 02 Sat
UPDATED: 2026 / 05 / 02 Sat
ICANN と IANA
ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)は、インターネット上の識別子を管理・調整する非営利の国際組織です。 具体的には、ドメイン名(DNS)の管理、IP アドレス空間の割り振り調整、プロトコルパラメーターの管理などを担っています。 1998 年に設立され、それ以前は米国政府の契約のもとで IANA がこれらの機能を担っていました。
IANA(Internet Assigned Numbers Authority)は、インターネット上で使用される番号や名前の資源を管理・調整する機関で、現在は ICANN の一部門として機能しています。 主に以下の3つを管理しています。
- ドメイン名: DNS のルートゾーンやトップレベルドメイン(TLD)の管理
- IP アドレス: グローバル IP アドレス空間の管理と RIR(地域インターネットレジストリ)への割り振り
- プロトコルパラメーター: ポート番号やプロトコル識別子などの標準化された番号の管理
IP アドレスの割り振り階層
IANA はグローバル IP アドレス空間全体を管理する最上位機関です。 IANA は直接エンドユーザーにアドレスを割り振るのではなく、世界5つの RIR(Regional Internet Registry、地域インターネットレジストリ) に大きなブロックとして委譲します。
| RIR | 担当地域 |
|---|---|
| ARIN | 北米 |
| RIPE NCC | 欧州・中東・中央アジア |
| APNIC | アジア太平洋 |
| LACNIC | 中南米・カリブ海 |
| AFRINIC | アフリカ |
日本は APNIC の管轄地域に属しており、国内では JPNIC(Japan Network Information Center) が APNIC から割り振りを受けて国内の管理を担っています。
IP アドレスの割り振りは以下の階層構造で行われます。
IANA(グローバル管理)
└─ RIR(地域管理:APNIC など)
└─ ISP・NIR(国内管理:JPNIC など)
└─ エンドユーザー(企業・個人)
この IP アドレスには IPv4 と IPv6 の2種類があり、次のセクションで説明します。
ISP
ISP(Internet Service Provider)はインターネット接続サービスを提供する事業者です。 個人や企業はルーターを ISP に接続することで、ISP が持つグローバル IP アドレスを使ってインターネットにアクセスします。
ISP 同士はインターネット上で相互に接続(ピアリング)しており、これによって世界中のネットワークと通信できるようになっています。 日本では NTT、KDDI、IIJ などが代表的な ISP です。
AS と BGP
インターネットは単一の組織が管理しているわけではなく、多数の組織がそれぞれ自律的に管理するネットワークの集合体です。 この自律的なネットワーク単位のことを AS(Autonomous System、自律システム) と呼びます。 ISP、大企業、大学などがそれぞれ AS を持っており、各 AS には世界で一意な AS 番号(ASN) が割り当てられています。
BGP(Border Gateway Protocol) は、この AS 間でルーティング情報を交換するためのプロトコルです。 BGP は「どの AS を経由すればどのアドレスに到達できるか」という経路情報を AS 間でやり取りし、インターネット全体の経路制御を実現しています。 インターネットの「経路表」を管理するプロトコルと言えます。
IPv4 と IPv6
IANA は IPv4・IPv6 の両方のアドレス空間を管理しています。
IP アドレスには現在2つのバージョンが存在します。先に普及した IPv4 と、その枯渇問題を解決するために策定された IPv6 です。
IPv4
IPv4(Internet Protocol version 4)は現在も広く使われているインターネットプロトコルのバージョン4です。
32 ビットのアドレス空間を持ち、192.168.0.1 のように8ビットずつ4つに区切ってドット区切りの10進数で表記します。
理論上は約43億個のアドレスを持ちますが、特定用途への予約や管理上のオーバーヘッドにより、実際に利用可能なアドレス数はさらに少なくなります。
インターネットの急速な普及によりこの IPv4 アドレスは枯渇しており、現在 IANA 管理のアドレスプールはすでに枯渇、各地域の RIR でも枯渇が進んでいます。 この問題の解決策として登場したのが IPv6 です。
グローバル IP アドレスとプライベート IP アドレス
IP アドレスにはグローバルとプライベートの2種類があります。
グローバル IP アドレス はインターネット上で一意なアドレスで、世界中のどこからでも直接到達できます。 IANA や RIR によって管理・割り振りされており、ISP を通じてユーザーに提供されます。
プライベート IP アドレス は LAN 内のみで使用される非公開のアドレスです。 RFC 1918 で以下の範囲がプライベートアドレスとして予約されています。
| クラス | アドレス範囲 | 用途例 |
|---|---|---|
| クラス A | 10.0.0.0 〜 10.255.255.255 | 大規模な社内ネットワーク |
| クラス B | 172.16.0.0 〜 172.31.255.255 | 中規模ネットワーク |
| クラス C | 192.168.0.0 〜 192.168.255.255 | 家庭用ルーターなど |
プライベート IP アドレスはインターネットに直接ルーティングされないため、LAN 内で自由に使うことができます。 ルーターが NAT(Network Address Translation) によってプライベート IP アドレスをグローバル IP アドレスに変換することで、LAN 内の機器がインターネットと通信できるようになります。
なお、IP アドレスは OSI 参照モデル のレイヤー3(ネットワーク層)で扱われる概念です。 グローバル IP アドレスはインターネット(WAN)での通信に、プライベート IP アドレスはイントラネット(LAN)内の通信に使われており、この区分は OSI モデルのネットワーク層における経路制御の仕組みと密接に関係しています。
IPv6
IPv6(Internet Protocol version 6)は IPv4 の後継となるプロトコルです。
128 ビットのアドレス空間を持ち、2001:0db8:85a3:0000:0000:8a2e:0370:7334 のように16ビットずつ8つに区切ってコロン区切りの16進数で表記します。
約340澗(かん)個(3.4 × 10^38 個)という事実上枯渇しない膨大なアドレス数が最大の特徴です。
IPv4 と IPv6 の主な違いは以下の通りです。
| 項目 | IPv4 | IPv6 |
|---|---|---|
| アドレス長 | 32 ビット | 128 ビット |
| アドレス数 | 約 43 億 | 約 340 澗 |
| 表記 | ドット区切り 10 進数 | コロン区切り 16 進数 |
| NAT | 必要なことが多い | 基本的に不要 |
| ヘッダー | 可変長 | 固定長(シンプル) |
IPv4 と IPv6 は直接通信できないため、両者が混在する現在の環境では NAT64/DNS64 のような変換技術や、デュアルスタック(両方のアドレスを持つ)などの移行技術が使われています。
LAN と WAN
LAN(Local Area Network) は、家庭や会社のオフィスなど限られた範囲内で構築されるネットワークです。 ルーターやスイッチを使って機器を接続し、プライベート IP アドレスを使って通信します。 LAN 内の通信はインターネットを経由しないため、高速かつ低コストで実現できます。
WAN(Wide Area Network) は、地理的に離れた LAN 同士を結ぶ広域ネットワークです。 インターネット自体も WAN の一種であり、企業が自社の拠点間を専用線や VPN で接続する場合も WAN と呼ばれます。
簡単に言うと「身近な範囲のネットワーク = LAN、遠距離をつなぐネットワーク = WAN」というイメージです。
インターネットとイントラネット
イントラネット(Intranet)は、インターネットの技術(TCP/IP、HTTP など)を使いつつ、特定の組織内部のみで利用するプライベートネットワークです。 インターネットと同じ技術基盤を使っているため、Web ブラウザや標準的なアプリケーションをそのまま使って社内情報の共有や業務システムへのアクセスが可能です。
インターネット(Internet)とイントラネット(Intranet)の名称は似ていますが、用途が異なります。
| インターネット | イントラネット | |
|---|---|---|
| アクセス範囲 | 全世界 | 組織内のみ |
| アドレス | グローバル IP | プライベート IP |
| セキュリティ | 公開前提 | 組織内限定 |
| 用途 | 一般的な Web サービスなど | 社内ポータル、社内システムなど |
外部からイントラネットへのアクセスが必要な場合は VPN(Virtual Private Network)を通じてセキュアにアクセスするのが一般的です。
MAC アドレス
MAC アドレス(Media Access Control Address)は、ネットワークインターフェース(NIC など)に製造時に割り当てられる物理的な識別子です。
48 ビットで構成され、00:1A:2B:3C:4D:5E のように8ビットずつ6つに区切ってコロン区切りの16進数で表記します。
前半24ビットが OUI(Organizationally Unique Identifier) と呼ばれるメーカー識別子で、後半24ビットがメーカーが独自に割り当てるシリアル番号です。 理論上は世界で唯一の値が割り当てられており、同一 LAN 内の通信(L2 通信)ではこの MAC アドレスが使われます。
IP アドレスは論理的なアドレスで変更可能ですが、MAC アドレスは物理的なアドレスで原則固定です(ソフトウェアで変更できる場合もあります)。 同一 LAN 内で IP アドレスから MAC アドレスを解決するために使われるプロトコルが ARP(Address Resolution Protocol) です。
MAC アドレスは OSI 参照モデルのレイヤー2(データリンク層)で扱われる識別子です。 IP アドレス(レイヤー3)が異なるネットワーク間の経路制御を担うのに対し、MAC アドレスは同一 LAN 内(レイヤー2)での機器間通信を担います。
を仕舞い
参考資料📕
- ICANNとは | JPNIC
- IANAとは | JPNIC
- IPv4とIPv6の違い | AWS
- LANとWANの違いとは? | AWS
- ボーダーゲートウェイプロトコル(BGP)とは | AWS
- 自律システム(AS)とは | Cloudflare
- グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスの違い | Fortinet
- MACアドレスとは|NTT東日本
- イントラネットとは何か | NTT PC コミュニケーションズ
- RIRとは | JPNIC
- JPNICとRIRとの関係 | JPNIC
- IPアドレスの割り振り階層 | NTT
- OSI参照モデルとは | 富士通クラウドダイレクト
- インターネットの仕組み | JPNIC
- AS番号とは | JPNIC